1/4破
貪欲に何かを求める空
暗い色が深まって
私に手を伸ばしてほしいの？
あの日の空はもっと暗かった。
些細な心の擦れ違い
蟲の道ほど小さなずれも
積もりに積もれば崖となる
あの日の空は泣いていた
悲しみに塗れる私の分まで
あの日の空は叫んでいた
愛しみに濡れる私の分まで
裸足で駆け出すその街は
もう思い出の中の街
薄れて擦れて曖昧で
美しい姿にならない様に
毎日の様に思い出しているわ
汚らしい玩具屋さんに
裏路地を歩く二匹の黒猫
敷き詰められた床石の模様
貴方にこの手を引かれた門(ゲート)
親と同じで大嫌いだった
親と同じで大好きだった
背中を向けてさよならを言った
叶わぬ恋だと
解っていたわ
愚かな恋だと
思っていたわ
愛してくれとは言わなかった。
"愛されるより愛したい"
誰かが唱えた理想の中で
その時はまだ少女でいたの。
遠く遠くへ二人で駆けて
長く短い季節(とき)を過ごした。彼の口付け(ベーゼ)は仄甘く
甘露の雫を思わせた
私が全てに気付いた時には
貴方は既に彼岸の彼方
自分で決めた事だから
貴方に夢を見た事も
現実から目を反らした事も
背を向け別れた街と家族も
体に孕んだ貴方との子も
私は私が全てを背負う
私が決めた事だから…。
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