1/6破 −また始まったわ…。 小さな村。 近くに大きな川もある。 首都と港を繋ぐ長い道の間にあるため、商人も毎日の様に訪れる。 宿の収入も村の財政に回している為、小さくとも寂れている訳ではなく、かと言って騒がしく賑やかな村という訳でもない…。 平凡で、平和で、静かな村だった。 「今日で1歳と4ヶ月になったんです。でもまだ何も喋らなくて…」 村には、数年前にやってきた女がいた。 長い髪はいつも後ろで玉の様に結んでいて、質素な服装が彼女を実年齢よりも老けた印象に見せる。 彼女は若い。 確か、まだ二十代の半ばだったと思う。 彼女も、至って普通の女性であった。 ただ、少し子煩悩で、一年ほど前にこの村で出産した女の子の話を、毎日の毎日、くる日もくる日も村の住人に会うたびに話して回っていた。 「最近、食欲がないみたいで…口に入れても何も食べてくれないのだけれど、どうしてかしら?」 …"また始まったわ…" 村の女達は皆口を揃えてこう言う。 別に、村の女達が彼女が毎日する愛娘の話に飽き飽きしている訳ではない。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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