1/1破 スロムハウストに流れる小さな川は、色んな川から枝分かれしてきた小さな流れで構成されている。 …ケルシー、東の方から流れてくる水に乗って、私はやってきた。 私を拾ってくれたのは、スロムハウストに住む老夫婦だった。 拾われたとき、私は言葉も話せない、立って歩く事もできない… まだほんの赤ん坊だった。 「フレット!フレット!!掃除はまだなのかい!?」 私に与えられたのは、一日に二枚、薄く切ったパンの布と、牢屋みたいに格子の張り巡らされた狭い部屋だった。 私はフレット(役立たず)と呼ばれて、毎日の様にこきを使われた。 最初は学校に通っていたのだが、国の方針が変わって教育費をとる様になってからは通わせてもらえなくなった。 私がこなさなければならないのは、炊事と洗濯と掃除。 でも、私は手際が悪い。 だから、暫く使われた後に、すぐに売り飛ばされてしまった。 老夫婦のもとにいたのはたったの数年だった。 まだ小さかった私はその時の事をよく覚えていない。 けれど、そのあとからは、ひどく生々しく記憶が残っている…。 売り飛ばされて スロムハウストから西へ、首都を目指して馬車を引く集団。 やっと老夫婦のひどく粗雑な扱いから逃れられると、少し楽観さえしていた。 今考えると 浅はかで 愚かしくて 昔の私は ただの惨めな子供だった。 スロムハウストを離れる前に摘んだ小さな赤い花の貌が 今も瞼にはりついて 決して離れてはくれない。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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