†Correnda†
市場で生きる子供たち
1/2破

"ピップ"
それが帰れない子供たちの家で、私に付けられた名前だった。

…私が辿り着いた町は、端の端にある町で、港がある所だ。

雨の中、ボロ雑巾の様に倒れ伏し、地面にへばりついていた私を拾って面倒を見てくれたのは、同じ位の年の子達だった。


「俺の名前は家長(リドル)!!よろしくな」

そう言って、私に手を伸ばしてくれたのは、名前通り、この町に住む孤児達のリーダーだった。
彼も私と変わらない年頃である。
他にもキャロルやスパナ、マリー、ドルハ…

私を看病してくれた子供たちは、皆孤児だった。

治安の悪いこの町で、孤児たちは管理者不明の建物を勝手に家にして生活している。
そして、この町で仕事を探してお金を貯めて必死に生きている。

もちろん勝手に住むのも、未成年で働くのも犯罪行為にあたる。

だが、そうしなければ生きられない道理がある。
過程がある…。

私よりも悲惨な生を歩んで来た子がいるかもしれない…。

私を世話してくれた孤児達というのは、それ位に暗く深いものを抱えている集まりだった…。


最初ここに来た時に、私は動く事は愚か、喋ることも聞くことも、見ることすらままならない状態だった。

口に物が運ばれただけで拒否反応が起こった。

胃に吐き出すものなんてあるはずもなく、嘔吐感は込み上げては引き込み上げては引き、まるで波打つ様に私をなぶった。

やっと動ける様になっても、足は全くと言っていい程に動いてはくれなかったし、関節も、体のあちこちが動かなかったので這う様にして移動するのがやっとだった…。


…私が徐々に回復していくに連れて、私と孤児達の交流は深まっていった。
私が人並みに生活できる様になった頃には、私は自然と彼らの一員となっていた。


…ここにくるまでに、たくさんの葛藤と戦った。
ズタボロの心で、何度死にたいと思ったことか…

何度殺してくれと泣いただろう。


それでも私がこうして生きていたのは、リドルを初めとする孤児の皆のお陰だ。


わたしはここに来てやっと居場所をみつけた。

そして色んな事を学んだ…。


この国の事
この町の事
働くという事
警察から逃げる事

生きるために夢がある事を
夢のために生きるという事を

…孤児達は、皆生きるために夢があった。

「俺の夢は…、空を飛ぶ事なんだ。…戦争でよく飛行機を飛ばしているけど、ああいうのじゃなくて、ただ…空を飛ぶだけの乗り物で…この大空を…」

リドルが空を見上げて言った。
彼と見る空は、視界が建物に挟まれていても、何故だかとても大きく映った。

「私は首都に行って、学校の先生をしたいの。だから、今からたくさん勉強するの!」

キャロルは自分で稼いだお金で本をたくさん買っていた。
そして、孤児たちに勉強を教えている。

『私たちみたいな孤児を引き取って世話をする施設を作りたい』

…これは孤児全員の願いであり、夢であった。

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