1/4ページ目 ◆◆◆◆◆◆◆◆§◆§◆ § § さよなら学校生活☆ § ☆ ◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ … くくるは職員室に逃げ込んだ。 虫が肌を這う感覚が取れない… 触って確認して、体には何もついていないと分かっていても、まだ気持ち悪さは取れないのだ。 気持ち悪さを振り払うために、私は体をよじらせながら職員室に駆け込んだ。 「先生!」 ……叫んでも、誰も反応しなかった…。 吃驚する訳でも、ちらっと見る訳でもなく、ただ、ただ、…私なんていないみたいに…。 私は、担任の席まで近づいて、恐る恐る声をかけなおした…。 「…先生…聞いてますか…?」 すると、先生は俯き、震えた声で早口に言った。 「…ご…ごめんなさい、ま、また後でね…!」 …私の顔も見ず、彼女はガタンと席を立ち、そそくさと何処かへ行ってしまう。 辺りを見回せども、どの大人も一様にくくるを無視しようとする…。 面白いくらい、皆くくるから目を逸らすのだ…。 …駄目だ、此処の大人たちは…。 そう悟り、くくるは教員たちを睨みつけてから職員室を飛び出した。 扉を乱暴に閉めて、教室に向かう…。 「くくる…」 聞き慣れた声だ…。 後ろから聞こえたが、振り返らずとも分かる…。 「何?…月神…。」 振り返ると、やっぱり月神だ…。 …奴は、見る度に思うが、やはり異様な存在感を持っている。 その瞳の鈍い輝きは見る度に私の中のイメージを塗り替える…。 それ程までに研ぎ澄まされているのだ。 「先生も人ね…。貴女が恐い…」 「私が…恐い?」 月神が、にやっと笑った…。 「そう…。"貴女の近くの人がどんどんと不幸になる…"。先生達だってそんなものは子供の戯言だと、誰も相手にしてなんていなかったでしょうね。」 「じゃあ…なんで?…」 「白城先生よ…」 …その名前を聞いて、くくるは訝しげな顔をした。 「博士…?」 なんの事かよく分からず、月神に聞くと、月神は唇を舐めながら言った。 「退職したのよ。」 くくるは、退いた。 キュっと音が鳴った。 「貴女の所為じゃないわ。」 月神の声が響く。 嫌になるくらい…月神の言葉は耳にすっと入ってくる…。 「彼は孫娘の為に職を捨てたのよ。」 「孫…娘……?」 「くくるは知っているでしょう?」 くくるは、雄造と古くから知り合いであった訳ではない。 寧ろ、最近になってから少し話す様になった程度だ。 だから、家族の話なんてしなかったし、しようとも思わなかった。 だから、月神の言った事は初耳で、知っている訳もない事象だった…。 「知らないわ…会ったことだって無いし…」 「嘘を仰い…斐女は貴女のお友達でしょう?」 「あやめ…って、…まさか」 あやめ…。 これを聞いて当てはまる人物は、今のくくるが知る限りでは一人しかいなかった。 咲羅…斐女… 「…あや…め?」 月神はにやりとした。 「そう。彼女と白木は血縁関係にあったわ。」 そんな事は初耳だった。 信じられない…何故、二人とも黙っていたんだろう…、いや、言う必要が無かっただけだろうか? 「斐女はもともと体が弱い子なんかじゃないわ。貴女に会ってからがあの子の分岐点。そしてあの子は貴女に会って変わった。」 「…」 「あの子の精神は壊れたわ。」 月神が真顔で言っているのが恐ろしかった… 「馬鹿な事言わないでよ…。」 「馬鹿な事なんかじゃないわ…。貴女こそ、教室に行くなんて馬鹿な事はお止しなさい。」 月神がくくるに詰め寄る…。 「貴女に死なれると私が困るのよ。辛いのは嫌でしょう?今からなら未だ間に合うわ。もう私は貴女を助けてあげられないのよ。」 そして月神はバッと私の右腕を掴んだ。 爪が食い込む… 「うるさい!」 感情が高まって、月神に罵るように叫んでしまった。 月神はいつもくくるに怖い事ばかり言う。 徒(いたずら)に恐がらせて、意味の解らない事ばかり口にして… くくるは月神の腕を半ば強引に振り払った。 そして教室に向かう。 教室に… <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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