Magic
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逆立った金の短髪。
眼光。
着くずした制服。
プライド。

それが『俺』

対して、女みたいにサラサラした地味な黒髪。
テラテラしてるメガネ。
いい子ちゃんらしくキチンと着た制服。
こいつにプライドはねぇのかよ、叩かれても蹴られても、やり返しゃあいいじゃん。

こいつは、いつだって孤独だ。


「すいません…。ごめん…。あきら君、ごめん、もう許してよ…。」

「チッ」

舌打ちと同時に、思い切り腹に蹴りを入れてやった。

「うぅっ…」


気分が悪りぃ。

なんか、違うんだ。


地味でキモい。
同じだ

言葉で許しを乞う。
同じだ。

泣く。
同じだ。

抵抗しない。
同じだ

同じだ。


他のウザイ奴らと同じだ。

でも中には抵抗する奴もいるし泣かない奴だっている。
こいつが『違う』のは、そういう事じゃない。 


「あきら君。ごめん…」

捨てられた犬みたいな目で、こいつが俺を見上げる。

汚物みたいに汚い、濁った目だ。

学校の屋上の裏で這いつくばらせてるから、制服も汚れていてみすぼらしい。

まるで生ゴミみたいだ。


「うぜぇ、うぜぇうぜぇ!」


周りには誰もいない。

たいがいは数人で締めるんだが、無性にイライラしていた今日は、取り巻きのヤツらに声もかけないで、しじまを連れてきた。

「しじま、お前、知ってるか」

「…」

「テレビやドラマでやってる理不尽なイジメに、現実で俺たちが遭遇する確率は超低い。」

「…」

「なんでだろうな、しじま」

聞くと、しじまは俯いたまま小さく答えた。

「……現実であるいじめは、だいたいいじめられる方が悪いから」

そうだ。
これは俺の、ガキの頃からの謳い文句だった。

いじめはいじめられる方が悪い。

極度に反感を買うのはそいつの人間性の問題だ。

不細工が威張れば狙われる。

真面目が気取れば狙われる。

陰鬱なオーラの奴は狙われる。

考えれば分かるんだから、そいつらは身の丈にあって振る舞ってりゃいい。
出しゃばるから悪い。

結果として、抵抗し続けないのもあきらめるのもそいつの責任だ。
だからドラマみたいな『理不尽な』いじめは、そうそう無い。


「しってんじゃん。」

「知ってるよ、あきらくんが、いつも言ってるから」

しじまが言うのに、俺は顔をしかめた。

やっぱり、気に食わない。

「じゃあ、なんで、悪いとこ直さなねぇんだ…よ!」

また一発、こんどは顔面を蹴った。

しじまは鼻血を出した。

俺は、こいつが皆とどこが違うのか、なんとなく分かった。

それから、さらに胸クソ悪くなった。


「クソッ!!!」


そこでチャイムが鳴った。
昼休みだ。

俺は最後にしじまに一発蹴りを入れて、立ち去った。




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