ハロー
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酷く光が疎ましく感じられた。
気付けば、真夜中の帰路は光で溢れていた。
無限に立ち並ぶ建造物の窓から射すものや、居酒屋の提灯、看板が放つ光もそうだったが、異様に強く放たれ、その存在を誇示し続ける街灯の光、点滅し繰り返し続けるどこまでも機械的な信号の光、そして何より、生々しく延々と連なり攻撃的なまでに赤く光を放っている車の光が痛い程に目を刺激する。
光の中心から刺の様に突き出る光針は、光を直視せずとも視界の脇から射し込んだ。
目が貫かれるかの如く痛んだ。
しかも、光の周りを囲む輪が四方から押し寄せ、今も闇に溶けだそうとしている私の体を圧迫した。

私は闇が恋しかった。光はそれ自体が私の体を蝕んでいるのではないかと言う程に攻撃的で、痛々しかった。
昼間に、よくあんなにも大量の光の中で息をしていられるものだ。
自分で自分を不思議に思う。
暗闇の中で仄かに灯る光ほど心強くあるものはないだろうに、今の私はきっとその光すら苦痛に感じるのだろう。
この世界は絶えず光で溢れている。少なくとも、私の可視に堪え得るこの世界からは、光は消えない。

遠い遠い、何億光年も離れた所から届いた光がふと私の眼前に広がった。
私は星を見ている訳ではないのだ。この瞬間ばかりは、知識ではなく生命で理解できた気がした。
私に見られようが見られまいが、光は届き続けている。
そしてまたどこかへ届けられ、或いはこの光の様に私の目に吸収され、或いは地球にぶつかり消えてなくなる。
星の生命力を感じると、それは以外と騒がしいものだった。

焦がれた闇は星の揺り籠だった。
私はその闇に包まれたいのだ。
だが私はひとだから、星の揺り籠は大きすぎるだろう。
しかし地球は恒星だ。
だから私は闇の中の孤独に埋もれない。
闇に包まれながらも、また、見えない光が私を包んだ。

慈しみを与えるこの宇宙の闇に挨拶をしてみた。
愛しさの溢れるこの星の光に挨拶をしてみた。

ハロー














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