1/1頁 好きだ。 そんな、ぶっきらぼうに言われたって困る。 お淑やかに…とは言わないが、せめてもっと俺の目を見て、そう言ってほしかった。 俺は、お前が、そう。 お前だけが、好きだ。 だけど、お前は違う。 お前は、俺に好きだと言う前に、誰に好きだと言ったんだ。 そしてお前は、俺に断られたら次は誰に好きだと言うんだ。 お前は俺に恋しては呉れず、ましてや愛して呉れるわけも無く、ただ好きだと言う。 使い古されて、中身の抜けた透明な言葉を投げ掛けられた所で、幾ら好きだと言われたとしても、俺は胸が苦しくなるだけだ。 お前が恋してると謳っているのは、俺だけじゃない。 お前は、恋に恋してる。 お前は、他人を愛したいわけじゃない。 そう、他人に愛されたいらしい。 少し冷めた口調でお前を責め捲る様な俺に縋るお前は、表面は人間でも、心の臓には飢えた肉食獣を抱えているのだろう。 俺は、今すぐにでもお前を抱き締めたい。 そして、冷えた人の躯を温めてやりたい。 何より、お前と触れ合いたい。 少しでも多く、そして長く。 肌を合わせて、お前と触れ合っていたい。 例え飢えに駆られたお前に喰われても構わないから、その、唇を奪いたい。 今ここで、お前を奪ってやりたい。 だけど、俺は何もできない。 今のお前に、愛していると伝えられない。 お前だけを愛していると、伝えられない。 お前が欲している俺は、俺では無い。 お前を愛しているから。 愛しているからこそ、俺は俺を演じたくない。 だから、俺はお前にこうしか言えない。 今は、こうしか言えない。 ああ胸が張り裂けそうだ。 溢れたこの想いはどうすればいい。 疼くこの腕はどうしたらいい。 震える声はどう隠せばいい。 零れそうな俺の想いは、どうすればいい? <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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