1/8頁 今、この私は最大の敵、迫水章を目の前にして対峙していた。 …ああ、申し遅れた、私は桜嵜奈兎。桜嵜財閥の令嬢である。 今は訳あって愛人と同棲中だ。 まあ、私の過去の活躍について知りたいのなら鏖姉妹物語を読むといいだろう。 私と功聖の愛の日々が綴られている事であろうな(※十中八九嘘です) まぁ出会いの経緯なんかは後々語られる事にはなるだろう。 というか問題は私ではなく、章である! 迫水章…こいつはちょくちょく話とかに出てきてはいるが、正体を知るものは少なかろう…。 だからこの私がじきじきに説明してやるぞ! 章は私の愛人、赤坂功聖の甥っ子である。 つまりは、功聖の姉、旧姓赤坂韵葉の息子である。 「おいちびっ子!お前が何考えてるかなんてだいたいわかるんだよ…。いいか、功聖さんは俺の叔父さんではあってもお前の愛人じゃあないぞ!保護者だろ?」 「うるさい馬鹿金髪!なんで私の考えてることを勝手に読んでるのだ!」 …と、まぁ邪魔は入ったが、章の説明はこれくらいで十分であろう。 因みに今ここは、功聖の部屋である。 私と一緒に暮らしてる部屋であって、章は遊びに来ているだけである。 そして、功聖は仕事が忙しくて不在。 いつもの事だが…。 本題に入ろう…今日、今…何故二人が対峙しているかだが、そんなのは簡単な理由だ。 何故なら 本日は天下のバレンタインデーだからだ! 「そんな説明で解るわけないだろ…」 「むー…本当にうるさい奴だなぁ…というかいちいち私の思考を読むなよ変態…。」 「へいへーい。」 変態という部分は否定しないのか…。 まぁ、章の言うことにも一利あるかもしれないので、もう少し丁寧に説明しよう。 …今日は天下のバレンタインデー。 だからと言って、功聖の仕事が休みになる訳でも無く、どうせ渡せるのは夜になるだろう。 だからこそ、どうせ渡すのならその日に作った出来たてほやほや愛情たっぷりラブリーブリトニーチョコを…と思っていたのだが。 どうやら、この功聖にゾッコンの甥っ子野郎も私と同じ事を考えていたらしく、材料を持ってうちのキッチンまでのこのことやってきたのだ! 「だいたい、チョコレートは女to男と相場決まっているのだ!章は男の子だろう?」 「知らないのかよ、今年は逆チョコが流行ってるんだぜ?」 と私に言い返すと、章はパッケージが逆に印刷されたチョコを取り出した。溶かして使う材料だろう…。 逆印刷のチョコ… そ、そんなのあったなぁ…。 …って! 「功聖は女ではなーーい!」 「何言ってるんだ!功聖さんは将来俺のお嫁さんに…」 「させるかぁー!」 うむー… この男はどういうつもりなのだ…。 嫌いではないが…うん。確かに嫌いではないのだ。 嫌いではないのだが… 「なんだ…じゃあ俺の事好きなのかよ?」 うおぉ… ふ…っ <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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