1/2頁 雪は降っていなかった。 雪にはロマンチックなイメージがあった。 けれども、雪は都会では滅多に降らないものだった。 だから今の自分は、とても惨めに思えてならなかった。 雪が降っているから惨めでは無いと言う訳では無いだろうが。 待ち合わせの時間はとうの昔に過ぎていた。 もう嫌になる程待って、来たら叩いてやろうとか、来たら何を言ってやろうとか考えるのにも飽き飽きする位時間を過ごした。 帰ろうかとも思った。 寧ろ、帰るべきなのだと思う。 ただ寒くて、手先は感覚が鈍る位に冷えていて、顔も冷たくて、普通ならとっくに帰っている。 でも私は疲れていた。 疲れていて、もう動きたくなかった。 それは私の意地であったかもしれない。 それは私の気紛れだったかもしれない。 或いはただの怠惰かもしれない。 ふと目を瞑ると、冷たい雫が滴れてきた。 目を開けてみると、薄暗い空から、すこしだげ雨が降り始めていた。 雨は時間が経つと共に粒が大きくなって、私はみるみる内に濡れた。 体は激しく冷えて、どうしようもなくなって、また目を閉じた。 そうしたら、彼はやっと口を開いてくれた。 「いつまで待ってんだよ。」 私は目を開けなかった。 私は本当は、彼がずっとそこにいたのを知っていたのだ。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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